#26 二人の死闘(前編)


著/Ryuka

 

ヒロキとライサーの戦いの翌日、Zi-worksCorporationではライサーが戻ってきてないことにイズキ達が気にかけていた。

「ヒロキに続いて今度はライサーまで戻ってこないってどういう事よっ!」

この状況に苛立ちを隠せない様子のイズキ。

「まさか、ライサーさんまでDr.ホワイトの手に落ちてしまったのでは・・・」

ヒロキと同じ状況に見舞われているのではないかと予測するアルト。

「バカ言うなよ、ライサーに限ってそんな事が起こる訳・・・」

思わず言葉を失うイズキ。

「いや、その可能性は低いな」

「社長!?それはどうしてですか!?」

ゴルザの発言に疑問を覚えたアルトはゴルザに問い掛ける。

「ライジングブリットの行動記録に誰かと交戦した形跡があり、そこで記録が途絶えてることから、ライジングブリットはその相手に負けたのだと推測される」

Zi-worksCorporationに配備されているゾイドには、行動記録を社長であるゴルザの元に転送されるしくみとなっている。

「行動記録からは僅かしか残らなかったが、どうやら相手は例の黒い狼型ゾイドの様だ。しかもライジングブリットを倒した直後にその場から姿を消している」

「じゃあライサーはまだライジングブリットの中にいるって事!?」

「早めに探した方がよさそうですね!」

「でも待てよ、さすがにあたしら二人だけじゃ大丈夫かな・・・」

「そう言われると・・・」

ライサーの件を考えると、自分たちだけでは勝機がないため、弱気になるイズキとアルト。

「心配には及ばぬ、今回は助っ人として傭兵の街からローダ君、クロノ君、ユキエ君、フェイラ君、リオン君が協力してくれる事となった」

「あたし達にとっては心強い味方だね!」

「この人達なら、私達の足りない部分を補ってくれそうですね!」

頼もしい味方勢に自信を取り戻す二人。

「さぁ君達二人も傭兵達と共にライサー君を探し出し、ヒロキ君を救うのだ!」

「「はいっ!」」

その後、イズキとアルトは格納庫へ向かい、それぞれ自分のゾイドに乗り込み、まずはローダ達と合流する為、傭兵の街へと向かった。

 

* * *

 

一方、傭兵の街でも、ライサーとヒロキの捜索の為に動き出していた。

「まず、ユキエ君には空からライサー君とヒロキ君が乗っていると思われるゾイドを探して頂きたい、出来るかねユキエ君」

「はい、昨日Dr.クロノスに改良してもらった“ストームソーダーヴェルデ”がありますので、突然襲われるようなことがあってもある程度耐えられます!」

自信を持って返事をするユキエ。昨日彼女の愛機となったストームソーダーをDr.クロノスがユキエ用に改良を加え、機体色を緑色に変更したストームソーダー、その名も“ストームソーダーヴェルデ”へとなった。外見は機体色が変わった程度だが、内部構造を改良を施してるため、通常機より15%ほど出力が向上している。しかもまだ飛行ゾイドの操縦したばかりのユキエを考慮し、多少ではあるが、操縦性を良くしている。

「良い返事だね、すぐに出発態勢を取ってくれ」

「わかりました!」

そう言った後、ユキエはメガネを外し、フェイラから貰ったゴーグルを付け、ストームソーダーヴェルデへと乗り込む。

すると、突然格納庫の天井が開き始めた。これにはユキエだけでなく、近くにいたローダ達も驚いていた。

「ここの天井って開くのね、知らなかったわ・・・」

「それでは出発してくれ、ユキエ君」

「行きますっ!」

ユキエがそう言った後、ストームソーダーヴェルデは格納庫から出るまで垂直に上昇し、格納庫から完全に出た後、機体の態勢を変え、勢いよく飛び去って行った。

そして、ストームソーダーヴェルデが飛び去ったのを確認すると、Dr.クロノスは格納庫の天井を閉ざした。

「この格納庫の天井が開くなんて初めて見たぜ・・・」

「俺もだ・・・」

「ボクも・・・」

「まるでからくり屋敷だな・・・」

呆然と格納庫の天井を見上げるローダ達。

「では、残ったローダ君達は、ユートシティから来るイズキ君とアルト君が合流するまで待機してください」

「あ、あぁそうだな」

ローダ達はイズキとアルトが来るまでの間、その場で待機することとなった。

 

その頃、イズキとアルトは傭兵の街へ向かっている最中だった。

「ごめんねイズキちゃん、私のゾイドのペースに合わせてくれて」

「いいよいいよ、仕方ないことだし」

笑顔で返事をするイズキ。アルトが気を遣うのも無理もない、本来高機動ゾイドであるイズキのバルトサイクスが動きの遅い自身のグラブゾンザウラーに合わせて並走しているからだった。

「それに普段通りに走ったら、アルトを置いてけぼりにしちゃうからね」

「そうですよね、私少し気にし過ぎてたのかも」

そう言ってアルトはモニターに映るイズキの顔を見た。イズキの表情は一見明るそうに見える。だが・・・

(イズキちゃん、今は明るく振る舞っているけど、本当は誰よりもヒロキくんやライサーさんのことを心配してるんじゃないかしら・・・)

アルトはイズキがヒロキ達のことを一番心配しているのではないかと思っていた。

「どうしたのさアルト、何か考え事してるみたいだけど」

「えっ!?あ、いや、何でもないですよ」

その時、イズキに自分の様子を聞かれ、思わず慌てるアルト。

「そっか。と、そろそろ傭兵の街が見えてきたね」

「本当ですね」

イズキの言うとおり、二機の目の前に傭兵の街が見えてきていた。

 

イズキとアルトが傭兵の街へ着こうしていた頃、ストームソーダーヴェルデに乗るユキエは、飛行しながらヒロキとライサーの行方を捜していた。

「ん〜と、Dr.クロノスからの情報によると、確かこの先の軍事基地にライサーさんのゾイドと思われる反応があったと言ってましたが・・・」

そう言ってる間に、反応があった軍事基地の上空へと辿り着いたユキエのストームソーダーヴェルデ。

「何なのこれは・・・、まるで廃墟だわ」

ユキエはその軍事基地を見るなり驚愕した、既にこの基地は廃墟と化していたのだ。

「一体誰が何の目的でこんな事を・・・、そんな事よりもまずライサーさんを捜さないと」

そしてユキエは廃墟となった基地周辺の上空を回り、ライサーのと思われるゾイドを捜し出す。

「あれ?あの横たわってるゾイド、見覚えがある気がするわ」

ふとユキエが見つけたのは、横たわっている大型の黒っぽい色の狼型ゾイド。

「近くにいってもう一度確認してみようかしら」

ユキエは再度そのゾイドを確認するため、そのゾイドの近くへ寄ってみる。

「やっぱり、間違い無くこのゾイドはライサーさんのゾイドだわ」

ユキエはそのゾイドがライサーのライジングブリットである事を確信した。実を言うとユキエはライジングブリットを実際に見るのはこれが初めてなのに何故知っているのかというと、ライサーを捜しに行く前にDr.クロノスからライジングブリットが映し出された映像を見ていたからであった。

そしてユキエはストームソーダーヴェルデをライジングブリットの近くへ着陸させる。

「ライサーさんのゾイドは見つけたけど、ライサーさん本人は大丈夫なのかしら」

ユキエはストームソーダーヴェルデから降り、ライジングブリットのコックピット付近まで行った。

「私が来るまでにハッチが開いた形跡は無さそうね、だとするとライサーさんはまだコックピットの中に・・・」

ユキエがハッチを開けようとした瞬間、突然ハッチが開き出した。これにはユキエも驚いた。

「いって〜・・・、あれ、君は・・・?」

中から頭を擦るライサーがいた。

「え、えっと、私は傭兵の街から来たユキエと言います!」

あまりの動揺に若干片言気味で答えるユキエ。

「あぁ、ユキエか、もしかして俺を捜しに?」

「はい、Dr.クロノスから頼まれましたので」

Dr.クロノスか、恐らく社長がDr.クロノスに頼んだのだろうな。それにしてもすまないなユキエ」

申し訳なさそうに苦笑いをするライサー。

「いえいえ、ライサーさんが見つかって何よりですよ」

微笑みながら返答するユキエ。

「今Dr.クロノスに連絡しますのでちょっと待っていて下さいね」

「あぁ、分かった。それとグスタフを手配してくれとDr.クロノスに伝えといてくれ。今のライジングブリットは動かせそうにない」

「分かりました、その事も伝えておきます」

一旦ユキエはライサーをその場に残し、ストームソーダーヴェルデの元へ行き、コックピットの中から携帯電話を取り出し、Dr.クロノスへと連絡する。

「はい、Dr.クロノスですが」

「こちらユキエ・アルバーレンです。Dr.クロノスから提供して頂いた情報に示された場所でライサーさんを発見しました」

Dr.クロノスにライサーを発見した事を報告するユキエ。

「分かった、それで、ライサー君の様子は?」

「無事ですよ、特に大きな怪我をしている訳でも無く、健康状態も至って良好でした」

「そうですか、無事で良かったです」

Dr.クロノスのまずは一安心という感じが電話越しから伝えてくる。

それとですが、ライサーさんのライジングブリットがかなり損傷を受けていて、動けない模様ですので、至急グスタフを手配したいと言っておりました」

きちんと忘れずにライサーから頼まれた事をDr.クロノスに伝えるユキエ。

「分かりました、すぐにジョシュア君のグスタフの出発の準備をし、そちらへ向かわせます」

「ありがとうございますDr.クロノス、また何かあったら連絡します」

そう言って電話を切ったユキエは、上着の内ポケットに携帯電話を入れ、再びライサーの元へと戻る。

「お待たせしました、Dr.クロノスが今からグスタフをこちらに向かわせるそうです」

「あぁ、すまない、助かるよ」

そしてユキエはライサーにヒロキの行方について聞いてみる事にした。

「ところで聞きたいのですが、ライサーさんはヒロキくんの行方について何か知っていますか?」

「ヒロキか・・・」

ユキエが言った途端、急に表情が雲り出すライサー。

「その表情だと、ヒロキに何かあったのですか?」

「あぁ、昨日の夜、この場所でヒロキと会った。だがヒロキは誰かに操られてるのか、ためらう事無く俺を襲ってきた。しかも見た事の無い翼が生えた黒いブレイジングウルフに乗っていた」

「黒いブレイジングウルフ・・・?」

ライサーは昨日の夜の出来事を話し始めた。ユキエはライサーが口にした黒いブレイジングウルフに疑問を抱いていた。

「それと翼に装備されているレーザーガンには気を付けた方がいい、Eシールドをすり抜けてしまうからな」

Eシールドをすり抜ける武器とは厄介ですね、・・・でも待って下さい、確かヒロキくんが乗っているのって、ブレイジングウルフGDっていう白いゾイドだったはずじゃあ・・・」

「確かにヒロキの愛機はブレイジングウルフGDであることは間違いない、だがヒロキと会った時は、ブレイジングウルフGDZi-worksCorporationの格納庫に残ったままな上、黒いブレイジングウルフはZi-worksCorporationには存在しないからな」

現時点でZi-worksCorporationにあるブレイジングウルフは、本来のヒロキの愛機であるブレイジングウルフGDのみであり、それ以外のブレイジングウルフは存在しなかった。

「となると、ヒロキくんが乗っていた黒いブレイジングウルフはZi-worksCorporation以外の誰かが作り上げたということになりますね」

「そうだな、しかし社長が言うには、ブレイジングウルフ系統の製造データはZi-worksCorporationにしかないはずだが、どうやって第三者の人間が作り出すことが出来たのだろうか・・・」

Dr.クロノスも、ブレイジングウルフGDの設計図は全てZi-worksCorporationに受け渡したと言ってましたし・・・」

Zi-worksCorporation以外の者がブレイジングウルフを作り上げることが出来たことに、何か引っかかった感じで考え込む二人。

「私達だけで考えるより、Dr.クロノスに聞いてみた方が良さそうですね」

少し考え込んだ後、自分達よりもDr.クロノスに聞いてみた方がいいのではないかと提案するユキエ。

「それもそうだな、こういう系統の話はDr.クロノスの方が詳しいと思うしな」

ユキエの提案に賛成の様子のライサー。

「それでは早速Dr.クロノスに連絡してきますね」

「ちょっと待った!渡したいものがある」

その場から離れようとするユキエを呼び止めるライサー。ユキエはライサーの近くへと行く。

「これをDr.クロノスに直接渡してくれ」

するとライサーはどこからか取り出した一枚のデータロムをユキエに手渡した。

「データロムのようですけど、この中に一体何が入っているのでしょうか?」

「ほんの一瞬だが、黒いブレイジングウルフを映した映像だ」

データロムの中に入っていたのは、昨日の夜のヒロキとの交戦時に黒いブレイジングウルフの姿を映し出した映像だった。

「でもこれをどうやって取り出したのですか?」

ライジングブリットは動けなくなっているのに、どうやってデータロムを取り出したのか分からないユキエ。

「実は攻撃を受ける寸前にこのデータロムを取り出していたんだ。こういう映像も十分な資料になり得るからな」

ライサーはヒロキとの交戦でとどめの一撃を喰らう直前にデータロムを取り出していたのだ。これにはユキエの納得した様子である。

「ありがとうございます。このデータロムをDr.クロノスに渡していきますね。それと申し訳ないですが、グスタフが来るまでここに待って頂くことになりますが・・・」

「構わないよ、それよりもいち早く黒いブレイジングウルフの事をDr.クロノスに伝えてくれ、でないと大変な事態となるかもしれない!」

「分かりました」

ユキエは急いでストームソーダーヴェルデを止めてある方へと行き、ストームソーダーヴェルデへと乗り込んだ。そしてユキエは機体を起動させた後すぐにDr.クロノスの研究所へ通信する。

「こちらユキエ・アルバーレン。今からライサーさんからの黒いブレイジングウルフについての情報を伝えるためにそちらへ帰還します」

「了解しました、いつでも戻って来ても良い様に格納庫の天井を開けておきます」

「分かりました」

ユキエは通信を切り、研究所へ向け飛び立って行った。

 

* * *

 

少し時を遡り、Dr.クロノスの研究所では。

「お待たせしました皆さん」

「この度は協力して頂きありがとうございます」

イズキとアルトが研究所へと到着していた。

「今更堅苦しい挨拶しなくてもいいのに」

「ボク達そんなに偉くないよ〜」

「俺なんてまだまだ未熟ものだしな」

クロノ以外の3人の傭兵は笑みを浮かべながら否定していた。それを見ていたクロノは思わず溜息をついた。

「今回あたし達仕事の一環で来てるから、礼儀に気を付けた方がいいかな〜って」

「それに皆さんは私達より年上ですし」

彼女らは今回仕事としてローダ達と接しているので、彼女らなりに礼儀を弁えての行動だった。

「そういやよく考えれば俺達年上か」

「年上の人と接する際に礼儀を弁えるのも、行動としては正しい」

表情を変える事無く話すクロノ。

「さてと、ライサーはユキエが見つけたそうだし、後は俺達でヒロキを捜す事にしますか」

「そうしよう、何としてもヒロキを見つけ出さないとね」

イズキがそう言った直後、格納庫の天井が突然開き始めた。

「えぇ〜!?この格納庫の天井って開けるんだ!」

「全然知りませんでした」

格納庫の天井が開いた事に驚くイズキとアルト、先に格納庫の天井が開くのを見た傭兵達は「やっぱりな」という表情をしていた。

「あ、飛行ゾイドが格納庫の真上で止まった」

「ユキエが戻って来たようだな」

格納庫の真上で止まった飛行ゾイドはそのままゆっくりと降下し、やがて開いた天井から飛行ゾイドが入り、着地する。

「緑色のストームソーダーとは珍しいですね」

「一体誰が乗ってるんだろうな〜」

「えっへへ・・・」

緑色のストームソーダー、すなわちストームソーダーヴェルデに誰が乗っているかは知らない二人。その一方で、彼女達に気付かれないようにニヤニヤするフェイラ。彼女はストームソーダーヴェルデのパイロットを知ってるからである。

「コックピットから出てきましたわ」

誰かに似ている様な気がするけど、ゴーグルを身につけてるから違う風に扱われていた。

「あら、イズキちゃんにアルトちゃん、着いていたのね」

ゴーグルを掛けた少女はイズキ達を見て微笑む。

「あ〜!!も、もしかしてユキエ!!?」

ゴーグルを掛けた少女はがユキエだった事に驚くイズキ。

「そういえばまだイズキちゃん達はゴーグルを付けた私を見たことありませんでしたね」

確かにイズキとアルトはゴーグルを付けたユキエを見るのは初めてである。

「そういえばユキエちゃんって、飛行ゾイドに乗った事無いって言ってませんでしたっけ?」

「確かにそう言った気がするね、ストームソーダーは飛行ゾイドでも扱いにくい部類に入るって聞いたけど」

今まで飛行ゾイドに乗った事の無いユキエが、扱いにくい部類に入ると思われるストームソーダーを乗りこなしている事に疑問を抱く二人。

「確かにそうかもしれませんね、でも私、飛行ゾイドを操縦したの昨日が初めてなの」

「き、昨日ですかぁ!?」

「いくらなんでも早過ぎでしょ・・・」

これには驚きを見せる二人、陸上ゾイドより扱いにくい飛行ゾイドを一日で乗りこなせるのは現実的に不可能に近い事であったからだ。

「驚くのも無理ないですよね、一日で飛行ゾイドを乗りこなすなんてそう簡単に出来ることじゃないですし」

「そりゃ、まぁ・・・」

3人で話してるのはいいが、Dr.クロノスに何か伝えたくてここに戻って来たんじゃないのか」

ローダがユキエに理由があって研究所へ戻って来たのではないかと指摘する。ユキエはローダの言葉にハッとする。

「いけない、Dr.クロノスに伝えなきゃいけない事があって急いで戻って来たんだわ!指摘してくれてありがとうございますローダさん、危うく目的を忘れるところでした」

そう言って急いでDr.クロノスの元へ行くユキエ。

「すいません、ついイズキちゃん達と話しこんじゃって・・・」

「いいんですよ、女の子同士良くあることですよ」

Dr.クロノスはユキエを咎めようとはせず、寛容な態度でユキエに接するDr.クロノス。

「ありがとうございます。それで本題なのですが、ライサーさんから黒いブレイジングウルフについての情報を入手しました」

「黒いブレイジングウルフ、それは一体?」

「はい、昨日の夜ライサーさんがその黒いブレイジングウルフと交戦し、圧倒的な強さでライサーさんのライジングブリットを倒し、その場から飛び去ったそうなのです」

ユキエはライサーから聞いた黒いブレイジングウルフについての情報をDr.クロノスに話し始める。

「その場を飛び去る?確かブレイジングウルフは陸上ゾイドのはずだが・・・」

“飛び去る”という言葉に疑問を抱くDr.クロノス。彼の知っているブレイジングウルフに飛行能力を持つのは存在しないからである。

「そうですね、ではライサーさんから頂いたこのデータロムに黒いブレイジングウルフの姿が映し出されているそうです」

ユキエはDr.クロノスにライサーから貰ったデータロムを渡す。

「分かった、すぐに見てみよう」

すぐにDr.クロノスは受け取ったデータロムの解析を始め、近くのモニターから映像が流れ始める。

「これは確かにブレイジングウルフではありますが、見た事のない形態ですね。ユキエ君の言う通り、翼が付いてるから飛び去るというのも道理に合いますね」

データロムに入っていた映像を見て、抱いていた疑問を解決したDr.クロノス。

「ライサーさんが言うには、黒いブレイジングウルフはZi-worksCorporation以外で作られたと言っておりました」

「確かにそうですね、私もヒロキ君のブレイジングウルフGDの製造に関わりましたが、このブレイジングウルフはZi-worksCorporationにはありませんでしたからね」

Dr.クロノスもブレイジングウルフGDの製造に関わっているだけあって、黒いブレイジングウルフがZi-worksCorporation以外で製造されていたことは分かっていた。

「あと翼に装備されているレーザーガンなのですが、ライサーさんが言うには、Eシールドを簡単にすり抜けてしまうそうです」

「恐らくそのレーザーガンは常に周波数を変動させて、Eシールドを通過させているのだと思います。この装備は非常に厄介なので、ローダ君達にも伝えておかないと」

Dr.クロノスは席を立ち上がり、ローダ達の元へ行こうする。

「あの、もう一つだけ伝えておきたいことがあるのですが」

慌ててDr.クロノスを呼び止めるユキエ。Dr.クロノスはその場に立ち止まり、体をユキエの方へ向ける。

「何ですか、もう一つ伝えておきたい事とは?」

「はい、その事ですが・・・」

ユキエは言いにくそうな様子だったが、意を決してDr.クロノスに伝える事にした。

「実は黒いブレイジングウルフのパイロットなのですが、ライサーさんから聞いた情報によると、ヒロキくんが操縦しているとの事らしいのです」

「何だって!?何故ヒロキ君が乗っているのですか!?」

ユキエの口から出た言葉に驚愕するDr.クロノス。

「どういった理由なのかは分かりませんが、乗っているヒロキくんは正気では無かったとライサーさんは言ってました・・・」

「となると、ヒロキ君を元に戻すには直接ヒロキ君の乗る黒いブレイジングウルフと戦う必用がありそうですね・・・」

ヒロキを正気に戻す為に、直接ヒロキの乗る黒いブレイジングウルフと戦うことを視野に入れるDr.クロノス。

「ユキエ君、情報提供ありがとう、早速ローダ君達に伝える事にしよう」

Dr.クロノスはローダ達のいる格納庫の方へと向かっていった。

「はい、私みんなの役に立てて良かったです」

ユキエは皆の為に役立てることをした事を喜び、笑顔を浮かべていた。

 

「さて、俺達もそろそろヒロキを捜しに行くとするか」

とローダが切り出した瞬間、

「ちょっと待って下さい、皆さんに伝えておく事があります!」

Dr.クロノスがローダ達を呼び止める。ローダ達は「どうしたんだ?」という表情を浮かべていた。

「ヒロキ君の居場所が判明したので、それを伝えに来ました。ですが・・・」

ヒロキの居場所が判明したと伝えるDr.クロノス、だが表情は決して明るいものではなかった。

「居場所が判明したって、ヒロキはどこにいるのさ!?」

「だが、Dr.クロノスの話はまだ続きがありそうだな」

クロノの言う様に、まだDr.クロノスの話には続きがあった。

「その居場所のことですが、先日から起こった村や街、軍事基地までも破壊をし続けている黒いブレイジングウルフに乗り、実際に操縦しているそうです」

「ちょ、ちょっと待ってよ!ヒロキの愛機はブレイジングウルフGDなのに何で他のブレイジングウルフに乗ってるの!?」

「それ以前に黒いブレイジングウルフなんてZi-worksCorporationにはありませんよ!」

やはりイズキ達も驚愕している様子だ。

「てことは、今のヒロキくんはボク達の敵になってるってこと?」

「信じたくはないが、そういう事になるだろう」

「おいおい・・・、まさか捜している人が敵になってるなんてツイてないぜ・・・」

Dr.クロノスの話を聞いたフェイラ、クロノ、リオンはそれぞれ違った反応を見せた。

「それとですが、黒いブレイジングウルフの翼に装備されているレーザーガンは、Eシールドをすり抜けるので気を付けて下さい」

Eシールドを無視する武器か、かなり厄介なゾイドだな」

「しかも翼って、飛行能力もあるって事だよね」

「あぁ、それだけ陸上ゾイドに乗ってる俺達にとって不利にもなりかねない」

黒いブレイジングウルフが自分たちにとって非常に厄介なゾイドである事を認識したクロノとフェイラ。

「ボク達の中で、唯一の飛行ゾイド乗りはユキエちゃんだけだけど、ボクらとは行動しないことになってるからね・・・」

フェイラが言う様に、ローダ達7人の中で飛行ゾイドを操縦しているのは、ストームソーダーヴェルデに乗るユキエのみだが、今回ユキエはローダ達とは行動を共にしない事になっている。その為、陸上ゾイドのみの編成となっているのだ。

「・・・敵がどうであれ、何としてもヒロキを正気へ戻させるぞ!」

「ローダさん・・・?」

「自分の弟子だけあってか、珍しくやる気に満ちてるなローダ」

ローダの様子を見てこう言うクロノ。ローダがやる気に満ちることは、最近ではかなり珍しい事であった。

「ローダの言うとおりだよ、あたしだって何とかしてヒロキを正気に戻してあげたいもの!」

イズキもまた、ヒロキが正気に戻してあげたいと強く思っていた。

「やぁ、皆張り切っとるとこスマンなぁ、でもどうやってヒロキはんを捜す気でおるんや?」

と、そこに現れたのはサクノとシグの二人組だった。

「そういえばヒロキくんが何処にいるかなんて検討もついて無かったね」

と、フェイラが言う。確かにローダ達にヒロキがどこにいるかなんて分かるはずも無かった。

「そこで、ウチの自慢の索敵能力でヒロキはんの乗ってる何て言うゾイドやったっけ・・・?」

「黒いブレイジングウルフの事か?」

「そうそう、そのゾイドの事や!そのゾイドをウチの手で捜してやろか?きっと役に立つはずやで!」

途中クロノに突っ込まれながらも、黒いブレイジングウルフをレーダーの索敵を使って捜し出すと強くアピールするサクノ。

「ボクはそのアシスタントみたいな感じです」

サクノとは対照的に、落ち着いた物腰で話すシグ。

「そうだな、確かにサクノのレーダー系統の扱いに関しては、傭兵達の間でも評判が高いからな」

とリオンがサクノを褒める様な言い方をした。サクノのレーダー系統の扱い能力の高さは、傭兵達から高評価を得ていた。

「そんなん褒められたって何も出ないっちゅ〜に!そんな事よりもはよ出発した方がええんちゃうか?」

「そうだな、ここにダラダラいても何も始まらない、出発するぞ!」

ローダの合図に合わせ、皆それぞれのゾイドに乗り込み、研究所を後にした。

 

* * *

 

「悪いけど、ちょっと待っとってくれるか〜」

「何だよいきなり」

サクノの指示によって、傭兵の街の入り口の門の前に待機するローダ達一行。その指示にリオンは不満を漏らす。

「今からウチらの乗るヘビーライモスのレーダーを使ってヒロキはんの乗る黒いブレイジングウルフを捜し出すんや」

「でもこんな広大な場所でどうやって特定のゾイドを捜し出せるのさ?」

サクノの発言にイズキが問い掛ける。サクノはあまり難しそうな顔をせずこう答えた。

「このヘビーライモスのレーダーはな、通常機よりも広い範囲に索敵が可能な上、索敵対象を指定することが出来るんや」

サクノとシグが乗るヘビーライモスは、一見装甲がダークグレーで、フレームがネイビーブルーの単なる色替え機だが、装備されているレーダーの精度が通常機より高く、またDr.クロノスの手によって若干出力が向上していたりと、細かな変更が施されている。

「でもどうやって黒いブレイジングウルフを特定出来るのかしら?」

アルトは気になった点があった、いくらレーダーの精度が高くても、あまり情報の少ない黒いブレイジングウルフをどうやって捜し出そうというのだろうかと思っていた。

「その心配はあらへん、出発する直前にDr.クロノスから黒いブレイジングウルフが映った映像が入ってるデータロムのデータをコピーさせて貰ったんや」

サクノは事前にDr.クロノスからユキエが持ってきたデータロムに入っているデータをコピーさせて貰っていた。

「で、今からこのデータをヘビーライモスに読み込ませて、どこにいるかを特定するっちゅう訳や」

サクノはコックピットの中にあるドライバを通して、ヘビーライモスに黒いブレイジングウルフのデータを読み込ませる。

「お、早速見つけたやで!」

「本当かサクノ!?」

「ホンマホンマ、ここから数キロ先の荒野におるみたいやで。それとあんさん達のゾイドに今のデータ送るわ」

サクノが乗るコックピットのレーダーモニターには、数キロ先の地点に一つの反応が見える。その反応は、今は動いてはおらずその場に留まっていた。サクノ曰く、反応が示す地点は荒野だと言う。

「そうと決まれば行くしかないな」

「動き出す前に行かないと、折角ここまで来てヒロキを見失ったら元も子も無いよ!」

フェイラ、アルト以外の乗るゾイド達は、サクノから受け取ったレーダーのデータに示された反応へ目指し、進み始める。

「サクノちゃん達は行かないの?」

「置いてかれちゃうよ〜」

フェイラとアルトの機体はサクノのシグが乗るヘビーライモスの方へ向けた。

「ううん、ウチらは行かへん、ウチらが行っても皆の足手まといなるだけやし」

「僕らが出来ることはここまでです。あとは頑張ってください」

サクノとシグは、自分達が出来る役目を終えた以上、これ以上ついて行かないと決断する。

「そんな事無いと思うわ、足手まといって決め付けるのは・・・」

「行こうアルトちゃん、この子達の気持ちに応えてあげよう」

アルトが言い切る前にフェイラがアルトに対しこう言った。アルトもフェイラの言葉を聞いて、これ以上話をするのを止めた。

「そうね、二人ともありがとう。私達頑張りますわ!」

「そうやな、ほれ、早くしないとあんさん達が置いてかれるで」

サクノは出発したゾイド達の方向に指を指す。

「あぁっ、本当だわ!早く行きましょフェイラちゃん!」

「そうこなくっちゃね〜」

アルトとフェイラも遅れてイズキ達のいる方へと向かって行った。

「僕達、これでよかったのかなぁ?」

「せやな、あとはあの人達を見守るだけしかないで」

「そうだね」

サクノとシグはヘビーライモスに乗りながら傭兵の街の入り口の門の前でローダ達を見送っていた。

 

ヒロキが乗っている黒いブレイジングウルフがいると思われるサクノから受け取ったレーダーのデータに示された反応の方を目掛けて向かっているローダ達一行。

「すみません、遅れてしまって申し訳ありません」

「やっと追い付けたよ〜」

遅れたフェイラとアルトもようやく追い付いた様だ。

「全く何してたんだよ二人共、あたし達見失ったらどうするのさ」

遅れた二人を見て注意するイズキ。

「それは・・・」

「まぁ、なる様になるさ、ね、アルトちゃん」

「え・・・、そ、そうですね・・・」

フェイラのお気楽ペースにすっかり呑まれてしまったアルト。

「フェイラのお気楽振りも凄いもんだぜ・・・」

その様子を見たリオンがこう言った。

「ん!?」

「どうしたクロノ?」

突然クロノが何かを察知する。

「こっちに向かって何か来るな、それも大群でな」

「確かにその様だな」

クロノとローダは正面を見る。すると、ラプトイエーガーの大群がローダ達一行に向かってきていた。

「もしかして・・・、あのゾイドの大群はおじい様が私達に仕向けたのかもしれないわ」

「おじい様って、確かDr.ホワイトのことよね、しかしこんな時に限ってこんな事してくれるんだろうね!」

(まさかとは思うけど、ヒロキくんが正気じゃないのもおじい様の仕業なんじゃないかしら・・・?)

アルトはヒロキが正気じゃないのは、以前自分が同じ様な事を受けた様に、Dr.ホワイトがヒロキに何かしたのではないかと推測していた。

「しかし数が多いな、よくこんだけ集められたな」

「違うよリオンくん、あのゾイド達はスリーパーゾイドだよ。恐らくだけど、ボク達が黒いブレイジングウルフを捜し出すのを邪魔する為に誰かが仕掛けたんだよ」

大群のラプトイエーガーは、Dr.ホワイトが仕掛けたスリーパーゾイドだった。フェイラはラプトイエーガーの大群がスリーパーゾイドであることをすぐに見抜いていた。

「どうする、無理矢理にでも突破するか」

「いや、こいらは俺が引き付ける、お前達は先に行け!」

ラプトイエーガーの大群をクロノが引き付け、その隙にクロノ以外の者達を先へ行かそうとする。だが、

「いくらあんたが凄腕ゾイド乗りの傭兵といっても、あれだけの大群だと一人じゃ大変だろ、俺も手伝ってやるぜ」

「無理は禁物だよクロノさん、ボクも手伝います!ボクのジェノザウラーの荷電粒子砲であいつらなんか一網打尽だしね!」

リオン、フェイラもクロノに加勢してラプトイエーガーを引き付ける。

「ローダ、イズキ、アルト、お前達だけでも黒いブレイジングウルフを何としても見つけ出すんだ!」

「俺達に構わず早く行けっ!」

「早くしないとヒロキくんが完全に敵の手に堕ちちゃうよ、その前に何としても救い出さなきゃ!」

クロノ達3人は、残ったローダ達3人を先に行くように呼び掛ける。

「すまないな、俺達は先へ行くことにする。イズキ、アルトも行くぞ」

「分かったよ」

「了解です。皆さんどうかご無事で」

ローダのコマンドフォーミュラースピリット、イズキのバルトサイクス、アルトのグラブゾンザウラーは、ラプトイエーガーを横目にその場から走り去っていく。

「さて、俺のハウンドソルジャーフォルティスの相手には十分な戦力だ」

ローダのコマンドフォーミュラースピリットに良く似たくすんだグレーのカラーリングで青いキャノピーが特徴のハウンドソルジャーのハウンドソルジャーフォルティス。機体性能は、コマンドフォーミュラースピリットとほぼ同じの強力なゾイドである。

「いよいよ俺達の出番だな、行くぜっ!ダイナフォート!」

リオンの乗るダイナフォートは、以前赤いジェノザウラーに中破された黒いカノンフォートを、Dr.クロノスの手によって修復だけでなく改良を行ったもの。背中の主砲が6連突撃砲になり、ビームホーンも延長され、先端を尖らせたことにより、突撃時の威力をより向上させた機体である。

「ボクのジェノザウラーの荷電粒子砲で一気に倒してやるんだから!」

フェイラの乗るジェノザウラーは既に荷電両氏砲の発射の構えを取っていた。こうして3機とラプトイエーガーの大群とのバトルが幕を開ける。

 

クロノ、フェイラ、リオンの助けによって、ラプトイエーガーの大群から逃れたローダ、イズキ、アルトの3人は、次第に近づいて行く反応の方向に向かって走り続けていた。

「クロノ達大丈夫かな〜?」

「あいつらなら心配無いさ、下手な傭兵よりも数段強いからな」

「そうだよね、あんなゾイド達に負ける様な人達じゃないしね」

ローダはイズキにクロノ達の事は心配無いと言った。イズキもその言葉を聞いて納得の様子だった。

「ローダさん、イズキちゃん、あれ見て下さい!」

アルトが慌ただしくローダとイズキを呼び掛ける。

「どうした、何かあったのか?」

「目の前に見えるものなのですが・・・」

ローダ達の目の前には、無数のゾイドの残骸が広がっていた。

「この残骸、まだ破壊されてからあまり時間が経ってないみたいね」

「何てひどい事を・・・」

「一体誰が・・・」

すると、どこからか聞き覚えのある声がローダ達の耳に入って来た。

「その残骸は全部僕が破壊したからだよ」

「その声はまさか・・・!」

「ヒロキ!?」

ローダ達の目の前に黒いブレイジングウルフの姿、そしてその機体を操縦しているのは、紛れも無くヒロキ本人であった。

「あのじいさんが仕掛けたラプトイエーガーの大群をよく潜り抜ける事が出来たね、褒めてあげるよ」

「別にお前に褒められる事でも無いさ」

「ま、それもそうだけどね」

いつもと違うヒロキに困惑するイズキとアルト。

「ねぇヒロキ!あたし達はアンタを助けにここまで来たんだよっ!あたし達と一緒に帰ろうよ」

イズキはヒロキに一緒に戻る様に説得する。しかしヒロキは、

「僕を助ける?一緒に帰る?お前寝言でも言ってるのか、僕は別にお前達に助けて貰いたい訳でも無いし、そもそも誰だか分かんないし」

それはイズキにとってあまりにもショックの大きいことだった。正気ではないとはいえ、好意を抱いていたヒロキからの裏切りとも言える言葉にイズキは落胆した。

「そんな・・・、どうして・・・」

バルトサイクスのコックピットの中で俯き、涙を流すイズキ。アルトはモニター越しではあるが、すぐにイズキを慰める。

「大丈夫よイズキちゃん、ヒロキくんは本心であんな事を言うはずないわ」

「でも・・・」

「ヒロキくんもこの前の私と同じで、おじい様に何かされてるに違いないわ」

「それでもヒロキにあんな事言われるなんて・・・、あたし、胸が痛いよ・・・」

ヒロキにあんな風に言われたことが、余程辛く、悲しみにくれるイズキ。

「イズキちゃん・・・、イズキちゃんの心をここまで踏みにじるなんて、おじい様は絶対に許せません!」

泣き崩れているイズキを見て、Dr.ホワイトに対する怒りが湧き上がるアルト。

「ローダさん!イズキちゃんの為にも、あの黒いブレイジングウルフを絶対に倒してヒロキくんを救って下さい!」

「あぁ、最初からそのつもりだ」

ローダのコマンドフォーミュラースピリットが前に出て、黒いブレイジングウルフと対峙する。

「俺は負ける訳にはいかない、絶対にな!」

「それはどうだろうね、お前を殺してでも勝つつもりだけどね」

そして、ローダとヒロキの死闘の幕が上がった。

 

#26 完、#27へ続く