#6 非道な象使い
著/Ryuka

 

僕はあの日以来、僕とローダさんの時間が空いている時は、ローダさんの特訓を受けていた。今日は特訓を受けた日で、その帰り道での出来事だった
「今日の特訓、結構厳しかったなぁ〜。でも強くなるにはそれ位は当然か」
ローダさんの特訓の内容は、火器を一切使わずに格闘戦だけでローダさんが遠隔操縦するステルスバイパーを倒す事だ。
これがまた思う様に攻撃が当たらなくて、逆にステルスバイパーの攻撃を受けてしまう。あ、勿論ステルスバイパーも火器は使ってないよ、と言うよりむしろ火器を全く装備してなくて、胴長な機体を生かして尻尾を使ったり、地中から突き上げ来たりと、格闘戦メインの攻撃だった。
一見すると大した事の無いステルスバイパーだけど、遠隔操縦とはいえ、ローダさんが操ってるだけあって、かなりの強敵へと変貌しているんだ。
「次こそは絶対にあのステルスバイパーを倒してみせるぞ〜、あっ!」
目の前に突如として巨大な物体が現れたので、思わず急停止させる。
巨大な物体の正体は、エレファンダーだった。
「あの・・・、一体あなたは・・・」
何の前触れも無く鼻を勢いよく僕のブレイジングウルフ目掛けて振り回してきた。
僕は突然の事にかわす事が出来ず、まともに食らってしまった。
「うわぁぁぁぁ!!!」
ブレイジングウルフは勢い良く吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた時の衝撃で、僕は気を失ってしまった。
「よし、こいつをあの場所に連れて行け」
「はっ!グルザー中尉」
「よせ、俺はもうガイロスの軍人じゃない」
「申し訳ありませんでした」
「そんな事よりさっさとこの場を離れるぞ」
「了解です!」
気絶した僕を乗せたブレイジングウルフを乗せたグスタフと、僕を気絶させたエレファンダーがこの場から離れ、何処かへ向かっていった。

 

* * *

 

「う、う〜ん・・・ここは・・・?」
目覚めるとそこは古びた格納庫の様だった。するとエレファンダーの方から声がしてきた。どうやら人が乗ってるみたいだ。
「お目覚めかな、少年」
「あなたは一体何者なんですか?何故僕にあんな様な事を」
すると突然、背中のアサルトガトリングユニットのガトリングをこちらに向け撃ってきた。
「うわぁ!な、何するんですか!?」
「フン、貴様に名乗る義理は無い」
エレファンダーが突撃してくる。僕は何とかかわした、かと思ったが、突然反対側に振り向き、振り向いてきた際に、エレファンダーの鼻に当たり、転倒してしまう。
多分あの人は最初からこれを狙って来たんだと思う。
「あなたさっきから僕を攻撃して僕に何か恨みでもあるんですか!?」
「恨み?貴様には直接ないが、貴様が着ている服のロゴのとこにあるがな」
「服のロゴって、もしかしてZi-worksCorporationの事?」
「そうだ」
そう言い、エレファンダーの重量感ある足で、ブレイジングウルフを踏みつけてきた。
「ああぁぁぁ!!!」
「俺は今度こそZi-worksCorporationのあるユートシティをぶっ潰す!」
「そんな事・・・絶対に・・・させ・・・ない」
「ほざけ!今の貴様に何が出来る」
「そんな事・・・やって・・・みなきゃ・・・」
「おしゃべりはこれまでだ。君には人質としての役目があるからな」
「人質・・・、うわぁあ!!」
鼻先のアイアンクローに捕まれ、そしてなす術も無く投げ飛ばされ、壁に激突する。その衝撃でまたも僕は気を失ってしまった。
「グルザーさん、少しやり過ぎなんじゃ・・・」
「これ位やらなきゃ奴らも誘いに乗らんし、あいつにも逃げられる可能性があるしな」
「それは確かに分かりますが・・・」
「無駄口叩く前に、通信の準備をしろ!奴らをここに誘き寄せる為にな」
「は、はい」

 

* * *

 

その頃、ヒロキが捕らわれている事も全く知らないZi-worksCorporationでは
「遅い!ヒロキの奴、まだ帰って来ないのか!?」
「ローダの特訓が長引いてたりとか、にしても確かに遅いな」
「いや、それは無い。さっきローダ君のとこに連絡したらもう街を出てこちらへ向かっているそうだ」
「父さ・・・、いや、社長。て事はひょっとしてどっかで道草食ってたりしてたりとか」
「ヒロキの性格から考えてそれは無いだろ。もしかしてイズキ、ヒロキがいなくて寂しいのか?」
「そっ、そんな訳無いだろ!ただ仕事仲間としてヒロキを心配してるだけだ!」
「図星だな」
「う・・・、このやろぉ・・・」
「これこれ二人共、それ位にせんか」
「最悪誘拐とかされてなきゃいいが・・・」
「やめろよライサー、そんな不吉な事言うの!」
すると突如として通信が入って来た。
<おやおや、賑やかなご様子で>
「何ぃ!?」
「貴様はっ!」
「グルザー元中尉!」
<覚えていてくれて光栄です。ゴルザ社長>
「貴様にだけは私の名前を覚えて貰いたくは無かったがな」
「なぁ、ライサー。グルザー元中尉って誰だ?」
「今その話は後にしてくれ!」
<今日は君達に見せたい物があってな>
「見せたい物だと?一体何だそれは?」
<こいつの事さ>
「あれはまさかっ!?」
「ヒロキのブレイジングウルフ!お前、ヒロキに何したんだっ!」
<少し遊んでやっただけだ。まぁ、死なない程度にな>
「何だと・・・、今すぐヒロキを返してもらおうか、グルザー元中尉」
<返せと言われて素直に返す奴がどこにいる?返してやるには条件がある>
「条件?」
Zi-worksCorporationのエースパイロットをこの地図に示された場所に向かわせるんだ>
モニターから表示された地図に示された場所はユートシティから傭兵の街の間の道から少し外れたとこにある廃墟となった軍事施設の格納庫だった。
「その条件に従わなかった場合はどうするつもりだ?」
<そこにいる人質を殺し、ユートシティを襲撃する>
「何て卑劣な手段だ!まるで絶対条件に従えと言ってる様なもんじゃないか!」
<まさにその通り、貴様らに拒む権利は無い!>
「くっ・・・」
<制限時間は2時間、それまでに来なかったら人質を殺し、ユートシティを襲撃する!待っているぞ、フハハハハハ!」
その言葉を最後に通信が切れた。
「一体私はどうすれば・・・」
「社長!あなたの考えは分かりませんが、俺はあいつのとこへ行きます!」
「待て、ライサー君!そう簡単に条件を呑むんじゃない!」
「それは分かっています。ですがヒロキを見捨てる事は出来ませんし、何よりこの街の襲撃を何としても食い止めなければなりません。あの時の様にならない為にも」
「確かにそうだが、勝機はあるのかね?」
「そんなのやってみなきゃ分からない。ってヒロキがいつも言っている言葉です。きっと彼も同じ状況ならそう思ったでしょう」
「そうだぜ!あたしとライサーがいればきっと大丈夫さ」
「悪いがこれは俺一人が行く」
「何でだよ!」
「これは俺自身の問題だ」
「自分自身に抱え込もうとするなよ!あたしだって十分な戦力に」
「お前がいても足手まといになるだけだ」
イズキは怒りが込み上げ、怒りに身を任せ、ライサーの胸ぐらを掴んだ。
「そんな言い方無いだろ!あたしだってヒロキを助けたいんだ!」
「やめろ、イズキ!」
「何でだよ父さん!こいつはあたしの事を」
「いいからやめろと言っておるんだ!聞こえんのか!」
「・・・分かったよ」
ゴルザの怒鳴り声に、ライサーの胸ぐらを掴んでた手を離すイズキ。
「イズキがすまなかったな。ライサー君、君の出撃を許可しよう。ヒロキを、そしてこの街をグルザーの魔の手から救ってやってくれ」
「恩にきるぜ、それじゃあ行って来るぜ社長、いや、ゴルザさん」
「あぁ、くれぐれも無理するでないぞ」
「分かってますって」
そう言い、ライサーは社長室を飛び出し、格納庫に向け走り出した。
「全く!ライサーの奴ったらもう!」
「イズキ、覚えてるか?数年前この街が襲われた事を」
「確かあたしとヒロキがここのパイロットになって間もない頃だったよね」
「そうだ、あの襲撃の黒幕がさっきのヒロキを人質にしたグルザーという元ガイロス帝国の兵士だ」
「あの男がユートシティを襲った黒幕だったって事なのか」
「それにグルザーが駆るエレファンダーと、当時のライサーのケーニッヒウルフと交戦したのだ。ライサーは負けたが、撤退するきっかけを作ったのも事実だ」
「ライサーにそんな事があったなんて・・・」
「だからさっきああ言ったのもイズキを傷付けさせない為にあえてお前を突き放したりしたんだ」
「・・・バカみたい、カッコつけちゃってさ」
「イズキ・・・」
「そういう事なら最初からそう言えば良いじゃないか。あたしだってそれ位言えば分かるのにさ・・・」
(だからライサー、あたしの分まで頑張ってヒロキとこの街を助けてあげて、それから・・・無事で帰ってきて・・・)
そう心の中で祈るイズキであった。
「待ってろよグルザー、俺がお前の野望を食い止めてやる!」
ライサーは、愛機のアグレッシブでヒロキが捕らわれている廃墟の格納庫へ急いで向かった。

 

* * *

 

所変わって廃墟の格納庫。
「本当に来るんでしょうかね?」
「ほぼ間違いなく来るだろう。あそこの人質だけでなく、街も襲うって言えばな」
「ところで本当に街を襲うつもりですか?」
「勿論さ」
「流石にそれはやばいですって、以前の様には済まされないんですよ!」
「そんな事は承知の上だ、でなければこんな真似はしない」
「ですが・・・」
「もう余計な事は喋るな。そろそろ2時間経つな、そろそろ準備するとしよう」
グルザーは、エレファンダーに乗り込み、発進しようとした瞬間、入り口に1体のゾイドが立ち塞がる。
「待ちな、約束通り来てやったぜ」
その正体は彼の愛機、アグレッシブに乗ったライサーだった。
「正直言うとギリギリだな。だが確かエースパイロットはもう一人いるんじゃなかったのかな?」
「てめぇなんか俺一人で十分だ!その前にヒロキを返してもらおうか、どこにいる!?」
「あそこだ」
「ヒロキ・・・!」
格納庫の奥の方で横たわるブレイジングウルフ、間違いなくヒロキの機体であった。
「おい、聞こえるかヒロキ!返事をしろ!おいっ!」
モニターの向こうからは全く反応が無い。
「まさか殺した訳じゃないだろうな」
「安心しな、気絶してるだけだ。だがこのまますぐ返す訳にはいかないな」
「じゃあどうするつもりだ?」
「俺とお前が勝負する、これでどうだ?勝った方がそれぞれの好きな様にする。これで文句はあるまい」
「受けて立とうじゃねぇか!俺はあの時の事決して忘れる事はなかった」
かつてエレファンダーに単身で挑み、撤退はさせたものの、ライサー自身は負けていた為に、屈辱は相当なものであった。
「俺はもうあの時の俺じゃない、今こそあの時の屈辱を晴らすっ!」
エレファンダー目掛け突撃するアグレッシブ、だが呆気なくアイアンクローに捕まれ、格納庫の外に投げ飛ばされる。
「くっ・・・!」
素早く体勢を立て直し、ショックカノンで迎撃するがビクともせず、エレファンダーがこちらへ向かってくる。
「パワーならそっちの方が上かもしれないが、機動力ならこっちが上だ!」
ライサーの言うとおり、機動力ではアグレッシブの方が上で、エレファンダーの横につくのはそう難しい事では無い。だが問題はそこからだった。
「あいつが振り向く前にバスターブレードで横っ腹に突き刺す!」
バスターブレードを前に向け、ブースターを作動させ、猛スピードでエレファンダーの横っ腹目掛け突っ込んでいく。
「いけぇぇぇぇ!!」
「詰めが甘いな、若造!」
エレファンダーのアサルトガトリングユニットのガトリングがアグレッシブの足元目掛け火を噴く。それによりアグレシッブの動きが止まる。
すかさず16連ミサイルポッドに向きを変え、一斉に発射される。
Eシールド展開」
アグレッシブのバスターブレードを展開させ、Eシールドを展開しミサイル攻撃を凌ぐ。
「くそっ・・・、ぐあぁぁぁ!!」
攻撃を受け止めたのも束の間、爆風の中からエレファンダーの鼻が現れ、それに当たり、勢い良く吹っ飛ばされる。
「ちっ・・・、今ので少し駆動系がやられちまったか」
吹っ飛ばされた事により、アグレッシブの駆動系を多少損傷してしまい、動きがさっきより若干遅くなっている。
「確かにあの時より比べれば強くなったかもしれんが、それでもまだまだだな!」
「そうかい、だったらこれならどうだ!」
アグレシッブはエレファンダーの真正面に走っていく。
「バカめ、血迷ったか!」
エレファンダーは、アイアンクローを展開しアグレッシブを捕らえようとしている。
「それはどうかな」
するとエレファンダーの目の前でジャンプし、機体を飛び越える。
「何ぃ!?」
「もらったぁー!!」
着地と同時にエレファンダーの方へ振り向き、バスターレーザーを放ち、エレファンダーにヒットさせる。
「おわぁあ!!」
「流石にこれならあの重装甲でも効いてるぜ!」
「少しはやるようだな、だが」
すると再びガトリングが火を噴き、そして向きを変え、ミサイルを放つ。アグレッシブはこれらを全てEシールドでやり過ごす。
「あいつの事だ、また爆風に紛れて鼻で攻撃してくる筈だ」
ライサーの読み通り、爆風の中からまたしても勢い良く鼻が現れだした。
「同じ手は二度も通用しないっ!」
E
シールドを解除し、後ろへステップし、攻撃をかわす。
「く・・・、読まれていたのか・・・」
「だから言ったろ、俺はもうあの時の俺じゃねぇって」
「この、くそったれ野郎がぁぁぁっ!!!」
「さっきまでの余裕が嘘みたいに無くなってるな」
「うるせぇぇぇ!!死ねぇぇぇ!!」
エレファンダーは、アイアンクローを展開しつつ、鼻を勢い良く振り回す。
「攻撃にもさっきほどの冷静感が感じられねぇな」
アグレッシブはEシールドを展開し、エレファンダーの渾身の一撃を受け止める。
「何だとぉ!?Eシールドで受け止めただと!?」
「アグレッシブのEシールドの強度は伊達じゃねぇぜ!」
エレファンダーの攻撃も、遂にEシールドの強度に撃ち負け、弾かれる。ライサーはこの隙を見逃さなかった。
「今だっ!」
E
シールドを解除し、バスターブレードを横にし、さらにブースターを展開する。
「いけぇぇぇぇ!!!」
「う、うわぁぁぁー!!」
すれ違いざまにバスターブレードでエレファンダーの機体を真っ二つに切り裂いていく。
「やっとあの時の屈辱が晴らせたぜ!」
アグレッシブの背後には、無残に真っ二つにされたグルザーのエレファンダーがあるだけだった。
「くそっ、逃げるぞ!」
「あ、はいっ!」
グルザー一味は、部下の乗ってるグスタフで逃げようとしていた。
「ま、待てっ!」
「そこまでだ!」
「えっ・・・?もしかして、治安局!?」
「何ぃ!?治安局だと!?」
「もうおしまいだ〜!」
逃げようとするグスタフの前に、ユートシティの女性治安局長がのる治安局仕様のシールドライガーを筆頭にしたユートシティ治安局隊が現れた。
「話はゴルザさんから聞いている。目の前のグスタフに乗る者たち。貴様らを逮捕する為にな!」
「ゴルザさんって、社長が!?」
「ええ、あなたが街を出て行く前に私に伝えてくれてな、あなたが街を出て行ったのを見計らって、後を着いて来たの。ただあなたの機体が私達のより速くて、危うく見失いそうになったけどね」
「そういう事だったのか、それよりもヒロキの事が心配だ!局長さん、後は頼むぜ」
「分かってます。後は私達にお任せ下さい」
ライサーは急いでヒロキの元へ向かい、ブレイジングウルフのハッチを外部緊急開閉装置で開け、ヒロキの目を覚まさせようとする。
「大丈夫かヒロキ!しっかりするんだ!」
「・・・ん・・・、あれ?・・・ライサー、僕を・・・助けに・・・来てくれたの・・・?」
「当たり前じゃないか!大事な仲間を見捨てる訳ねぇだろ」
「ありがとう・・・ライサー・・・」
「それより大丈夫か?何ならグスタフ呼ぼうか?」
「大丈夫・・・、僕は気を失ってただけだし、ブレイジングウルフもまだ動けるから・・・」
「そうか、じゃあ、帰ろうか。イズキも心配してたし」
「そうだね、帰ろうか。ところであのエレファンダーって、ライサーが倒したの?」
「あぁ、ただお陰で俺のアグレッシブはボロボロだけどな」
その後二人はユートシティに戻り、Zi-worksCorporationにてイズキ達と再会した。
「ライサー・シャナル、只今戻りました」
「同じくヒロキ・バラート、只今戻りました。みんなに迷惑掛けてゴメンなさい」
「みんなに迷惑なんてそんな事無い!あたしはヒロキが元気で戻ってきただけで十分嬉しいよ」
「ありがとう、イズキ」
「あ、う、うん・・・」
「それにしてもライサー君、ご苦労さん、治安局から君の活躍を称えた表彰が送られるそうだ」
「ありがとうございます」
「ちゃんと治安局の方に礼を入れてくるのだぞ」
「はいっ!」
こうして、ライサーの活躍により、ヒロキ殺人、ユートシティ襲撃の魔の手から逃れる事が出来た。全てはライサーのお陰でもあるのだ。

 

* * *

 

数日後、僕はローダさんの特訓を受けていた。ただ前と違うのはイズキとライサーも一緒にいる事だ。
「頑張れよ〜、ヒロキ〜」
「とりあえず期待してるぜ〜」
「うんっ、頑張るよ」
「それじゃ準備は良いか?ヒロキ」
「はい、いつでも大丈夫です」
「よし分かった。それでは始めっ!」
目の前のステルスバイパーが地中に潜り始める。前受けた時のとほぼ同じ動きだ。
前はただひたすらにステルスバイパー目掛けて攻撃してたけど、今回はステルスバイパーの動きを良く見て、隙を見て攻撃する様にしてみる事にした。
「どこから現れるのかな〜、そこだ!」
ブレイジングウルフの右側からステルスバイパーが飛び出して来て尻尾で攻撃してくる。
「もうこの前みたいにはいかないよ」
ステルスバイパーの攻撃をかわし、ステルスバイパーは再び地中に潜りだす。僕は次また現れだすのを身構えながら待つ。
「ヒロキの奴、前より動きが良くなってるな」
「確かに相手の動きをちゃんと見ているな」
「頑張って・・・、ヒロキ」
「次は何処から来るのかな、今度はそこか!」
ブレイジングウルフの後方の地中からステルスバイパーが飛び出して来て、尻尾を振って攻撃する。僕はさっきと同じ要領でかわす。
「今だっ!」
僕はステルスバイパーが空中で攻撃した後着地するまでに出来る隙を狙って、爪で攻撃する。相手は無防備かつかわせない状況だった為、ブレイジングウルフの攻撃に当たり、ステルスバイパーは地面に叩きつけられ、動かなくなった。
「そこまでだ、やるじゃないか」
「やったー!やったよイズキー!」
「やったなー、ヒロキー!」
僕はブレイジングウルフから降り、イズキと一緒に喜び合った。
「やったー!やっと勝てたよー!」
「あぁ!やったなー!」
「「やったー!やったー!ははははっ」」
「まだ喜ぶのは早いんだがなぁ」
「まぁいいじゃねぇか、今は喜ばせておこうぜ」
「そうだな」
「それと、まさかだとは思うが、手抜いたりしてないよな?」
「まさか、手を抜いたりは一切してないさ、勝てたのはアイツ自身の実力だ」
「そうか、なら良かったぜ」
「そんな俺が手を抜く人でも思ったか?」
「いや、ひょっとしたらって思っただけさ」
そんなやり取りをしていたライサーとローダさんをよそに、僕とイズキはまだ喜び合っていた。
「よ〜し!この調子で特訓頑張るぞー!」
「「おーっ!」」

 

#6 完、#7へ続く