#7 密売組織摘発作戦 | 著/Ryuka |
ここはとある場所にあるへリック共和国軍基地。その基地内にあるモニタールームにて、一人の男が、モニターに移る人と会話をしていた。
「レイッシュ中尉、最近共和国軍内でゾイドや強化パーツを密輸している者達がおるそうだ」
「軍の中で密輸をしている者が?それも複数でですか?」
この男の名はレイッシュ、共和国軍中尉であり、この基地に駐屯する部隊の部隊長でもある。恐らくモニターの向こう側にいるのは恐らく彼の上官であろう。
「どうも密輸ルートを探ってみたところ、密輸元はこの基地の近くにあるそうなんだが、君は知っていたかね?」
「いえ、初耳でございます」
「そうか、では密輸している者達にばれぬ様に慎重に調査したまえ」
「はっ!了解です!」
「それと、そういう時は傭兵の街という場所に行ってみるといい、幸いこの基地から比較的近い場所にある様だし、そこで情報収集をしてみるといい」
「ご忠告ありがとうございます。それでは早速準備に」
「と、最後に言い忘れていた事が一つあった」
「準備しようとする時に一体何ですか!?」
「傭兵の街には”最強の傭兵”と呼ばれたローダと言う男がいる。その人が協力してくれればきっと力になってくれるだろう」
「そうですか、重ねてご忠告ありがとうございます、上官」
「あぁ、健闘を祈っているぞ」
そう言い、通信が切れ、モニターの映像が消える。
「傭兵の街・・・、”最強の傭兵”と呼ばれた男ローダか・・・」
レイッシュは、部下達がいる格納庫へ向かい、部下達に指示を出す。
「みんな、聞いてくれ、上の方から指令が来た」
「上の者からですか?指令とは何ですか?中尉」
「その指令と言うものだが、共和国軍の中でゾイドや強化パーツを密輸している輩がいるそうだとの事らしい」
「共和国の中にそんな事をする様ないたなんて・・・、まさか我が部隊の中に!?」
「安心しろ、それは無い、どうやらこの基地にいる者以外の者がやっているらしい」
「そうですか、それは良かった」
「喜ぶのはまだ早い、我々の使命はその密輸組織を摘発する事だ。という訳で、今から情報収集の為に傭兵の街へ向け出発する。お前達も早急に出発の準備を始めるんだ」
「はっ!」
レイッシュとその部下達は、準備を済ませ、傭兵の街へと向かっていった。
* * *
やがて傭兵の街に着いたレイッシュ中尉を筆頭にした一行。そこで情報収集を始めようとした矢先、レイッシュ中尉の目の前に一人の男が現れる。
「よう、軍隊さんがこの街に何の様だい?格好から見るとあんたら共和国の軍人だな」
その男の言葉に、部下の一人がその男に向かって反論する。
「貴様!中尉に向かって生意気な口を・・・」
レイッシュはその部下を制止する為に、部下の目の前に手を差し出す。
「待て、そう熱くなるな」
「失礼しました」
「すまないな、私の部下が迷惑を掛けてしまって」
「まぁいいって事さ。それより共和国の軍人がこの街に一体何の様だ?」
「実は我々共和国の中にゾイドや強化パーツを密輸している者達がいてな、我々は情報収集の為にこの街へと来た訳なんだが、君はその事で何か知っている事があったなら是非答えて欲しい」
「あ〜、その事ね。その事なら知らなくも無いんだが・・・」
「本当か!?その事を詳しく聞かせてくれないか!?」
「おいおい、ちょっといきなり過ぎねぇか!?まずはあんたの名を名乗ってくれ!」
「おぉ、これまたすまない、私はこの場所から然程遠くない場所にある共和国基地から来た共和国軍中尉のレイッシュと言う者だ。因みにこの部隊の隊長も勤めている」
「で、まぁあんたの事は大体分かった、その密輸組織が潜んでると思われる場所は、ここから少し離れた西の丘の林を越えた先に、怪しげな施設があってな、そこで隠れて見てた俺は、共和国製のゾイドや強化パーツがその施設に運ばれるのを見たわけだが」
「それは本当なのか?」
「一応な」
「情報提供ありがとう、後はローダと言う人を探すだけか・・・」
「あのさぁ、実を言うと俺がそのローダ本人なんだけどな」
「って、ええぇぇぇっ!!マジっすか!?」
今目の前の話してる人があのローダである事にレイッシュ一同が驚く。
「あんたらもしかして、今まで俺がローダである事を知らずに話してたのか?」
「えぇ(一同)」
「マジかよ・・・、でその密輸組織を見つけてどうするつもりだ?」
「その組織を摘発する為だ」
「摘発ねぇ・・・、よし、分かった、その摘発作戦に協力してやるよ。て事であんたら入り口で待っててくれないか?ちょっと準備がてら傭兵達数人連れてくるからさ」
そう言いこの場を立ち去るローダ。レイッシュの部隊も町の入り口まで戻り、ゾイドに乗り込みローダを待つ事にした。
* * *
「待たせたな、ちょっとばかし人集めるのに時間が掛かっちまってな」
暫くしてローダがゾイドに乗って街の入り口にやって来た。彼の言う通り、彼の背後には、コマンドウルフLCが5体程いた。
「ったく、最強の傭兵とは言え、もう少し早く来て欲しいものだな」
レイッシュの部下の一人がローダに向かって愚痴をこぼす。
「まぁいいじゃねぇか。それでは出発するぞ」
レイッシュ中尉率いるコマンドウルフAC部隊と、ローダが中心となる傭兵達が密輸組織が潜伏してるであろう施設へ向け出発した。
暫く進む内にレイッシュが気になっていた事をローダに話す。
「そういやローダさん、あなた確か銀色で赤いキャノピーのコマンドウルフACに乗っていると聞いていたのですが」
確かにローダの乗っている機体は、いつものコマンドウルフACではなく、やや灰色掛かった白の基調としたガンスナイパーに乗っていた。
「あぁ、確かに普段はコマンドウルフに乗ってるが、今修理中でな。代わりとしてこのガンスナイパーに乗ってるって訳さ」
「だが、ただ単にガンスナイパーに乗ってるって訳じゃ無さそうだな」
「あんた鋭いな〜、今回俺は林のとこから狙撃してあんた達を援護する。それもただの援護じゃない、一種の合図でもあるんだ」
「合図?」
「恐らく俺の推測だが、施設の入り口の所に見張りのゾイドがいる筈だ、まずそいつらを俺のガンスナイパーで狙撃し、その際にあんたの部隊と傭兵達が施設に向かって突っ込んで行くって言う魂胆だ」
「それで上手くいくのか?」
「大丈夫だ、厄介そうなのは俺が狙撃する。俺こう見えても狙撃は割と得意な方なんだぜ」
「・・・とりあえず期待しておこう」
そうする内に、林のある丘が見えてきた。彼らは、一旦林へ潜り、体制を整え、ローダの提案した作戦の元、それぞれ決められた配置に着く。
「作戦はさっき言った通り、俺のガンスナイパーで見張りのゾイドを狙撃して撃破する。その際にレイッシュ中尉達は施設を攻め込んでくれ」
「了解、みんな、恐らく見張りが倒された事で施設の中から見張りの応援部隊が出てくる筈だ、走りつつもいつでも戦闘が出来る状態にしておく様に!」
「了解!(一同)」
「レイッシュ中尉、俺が合図したら施設へ向かって走りだしてくれ」
「了解!」
「さてと、俺は狙撃をするとしますか」
丘の上の林に隠れて狙撃体勢を取るローダのガンスナイパー、狙いは勿論施設の見張りにつくゾイドである。
「どうやら見張りのゾイドは、カノントータスBC2体か、中々硬そうな奴だぜ。だが」
見張りのカノントータスBC一体に照準を合わせ、スナイパーライフルの引き金を引く。スナイパーライフルから撃ちだされた弾丸は、照準を合わせたカノントータスBCの元へ一直線に飛んでいき、カノントータスBCの硬い装甲を貫き、内部にヒットし、行動不能となる。
「どうした一体、どわぁ!」
もう一体にもヒットし、同じく行動不能となる。
「よしっ!今だ!」
「行くぞっ!」
ローダの合図と、レイッシュの掛け声でレイッシュが乗る青いコマンドウルフACを先頭に施設へ向かって走りだす。
一方施設の方でも、見張りの襲撃を受け、慌しくなっていた。
「見張りをしていたカノントータスBC二体が何者かに襲われた模様です!」
「何だと、それはどこからだ!?」
「それが、場所の特定が出来てないんです」
「大変です!この施設に数十機のゾイドがこちらへ向かって来ています!」
「ゾイドの種類は!?」
「青いコマンドウルフACが一体、白いコマンドウルフACが四体、それにコマンドウルフLCが五体です」
「青いコマンドウルフAC・・・、まさか、レイッシュ中尉の乗るコマンドウルフACか!?だとすると白いコマンドウルフACは、レイッシュ中尉の部隊の部下達の機体、だがコマンドウルフLCは一体・・・」
「確認したところ、青と白のコマンドウルフACは、レイッシュ中尉の部隊が使用している物だと判明、コマンドウルフLCにつきましては、共和国軍に登録されていない物と判明、恐らく傭兵達が乗るものかと」
「レイッシュ中尉め、この場所を察知しただけ無く、傭兵達と協力しているとは、今すぐ迎撃体制に入れ!」
「はっ!」
施設の中にいる部下達である者達は、それぞれのゾイドに乗り込みレイッシュ中尉達を迎え撃つ。そして主犯格であろう3人の共和国軍人はまだこの場に残っていた。
「まさか、俺達のやってる事がバレたんじゃ」
「恐らく、上の者共がこの事を調べ上げ、この付近の基地にいるレイッシュ中尉にこの事を伝えたんだろう」
「つまり、レイッシュ中尉は我々を摘発する為にここに来たと」
「そうしか考えられん、折角の金儲けがパーになる前に何としてもレイッシュ中尉達を倒さねばならん!」
「そうとなれば早速準備へ取り掛かるぞ」
3人の軍人も、この場を離れ、それぞれのゾイドへと乗り込む。
その頃、施設の外では、レイッシュ中尉率いるコマンドウルフ部隊を迎え撃つべく、施設から次々とゾイドが姿を現す。ゾイドの種類はカノントータスBC、ミサイルトータス、アロザウラーで、ざっと50機近くであった。
「あの部隊を迎え撃てー!」
掛け声と共に一斉にゾイドがコマンドウルフ達の元へと走り出す。
「相手はたかだか10機だ、まとめて掛かれば全滅させられるぞー!!」
「おーっ!!」
施設から出て来たゾイド達は、コマンドウルフ達に向け射撃や、飛び掛ったりしてくるが、コマンドウルフ達はそれらをかわし、逆に射撃や、格闘攻撃でアロザウラーやカノントータス達を次々とねじ伏せていく。
「何故だっ!?数でならこっちが圧倒的に上なのに!」
「数だけ多くて勝てると思ったら大間違いだぜ」
何せ数が10機しかいなくても、レイッシュ中尉や、その部下達、及び傭兵達は、施設にいた一般兵達よりもゾイド乗りの腕が高い為、数が少なくてもまともに戦えるのだ。
「へぇ、さすがは共和国軍中尉なだけはあるな」
林の中に隠れているローダは、その戦闘を見ていた。
最初は数が多かった密輸組織側の部隊も、次第に数が減り、仕舞いにはレイッシュ中尉の部隊や傭兵達よりも数が下回っていた。
「ひ、ひいぃぃぃ!!!俺達じゃとてもかなわねぇ!」
そう言い、残った者達は次々と逃げ出していく。
「待ちやがれっ!」
部下の一人が逃げる者達を追跡しようとしたが、レイッシュが静止させた。
「そいつらを追う必要は無い、それよりも施設の方へ向かうのが先だ!」
「し、失礼しました中尉」
レイッシュ達は施設へ向かおうとした瞬間、突如傭兵が乗るコマンドウルフ1体が倒れる。
「クソッ、撃たれちまった!」
「まさかっ!」
レイッシュ達が施設を見ると、建物の上にウネンラギアが6体、背を向け、テイルライフルをこちらへ向けている。
「あのウネンラギアは俺に任せろ、お前達は攻撃をかわしつつ施設へ向かってくれ!」
「ローダさん・・・、了解しました。よし、みんな、施設へ向かって走り出すぞ!」
「了解!」
レイッシュ達のコマンドウルフは、ウネンラギアの攻撃をかわしつつ施設へ向かって走りだす。
「やっとこさ俺の出番だぜ!」
ローダはウネンラギア1体に照準を合わせる。
「向こうは俺の存在には気付いて無い筈だ。よし、今だ!」
ローダはスナイパーライフルの引き金を引き、スナイパーライフルから打ち出された弾丸は、遠くの施設の建物の上にいるウネンラギアに的確に命中させ、ウネンラギアは、施設の建物から落ちる様にして倒れていく。
「一体どこから、おわっ!」
カノントータスの時と同じ様に、次々と残りのウネンラギア達はローダのガンスナイパーによって狙撃され、倒されていった。
「凄い、あそこにいるゾイドを、全て一発で命中させるとは」
「よっしゃー!全弾命中!」
ようやくレイッシュ達は施設に辿り着き、施設へ近づくと、その前に3機の守備隊カラーのシールドライガーDCSが立ち塞がった。
「お前達が密輸組織の主犯格達か!」
「そうだとも、俺達が共和国のゾイド等を密輸していたのさ」
「そうか、なら私達はお前ら密輸組織を摘発しに来た。同じ共和国軍人として見過ごす事は出来ないからな!」
「摘発したければ、俺達を倒してからにするんだな!」
「そうさせてもらう。皆シールドライガー達に向かって撃てー!」
レイッシュの掛け声と共に、コマンドウルフ達がシールドライガー達に向け砲撃をする。
「そう簡単にはやられはしないさ、お前達、Eシールドを展開するんだ」
「OK!」
シールドライガーの上下の鬣が展開し、Eシールドが発生され、コマンドウルフ達の砲撃を防ぐ。
「しまった、Eシールドを張られては手も足も出ない!」
「じゃあ、あのEシールドを破ってあげようか」
「本当にあのガンスナイパーで出来るのか?」
「あぁ、俺に任せなさいって」
やけに余裕のローダに、いまいち理解の出来ないレイッシュ。
「分かった。あなたに任せてみましょう」
「そうこなくちゃな!」
ローダはそう言い、シールドライガーのEシールド発生装置に照準を合わせ、引き金を引き、弾を発射される。その弾はなんとシールドライガーのEシールドを突き破り、Eシールド発生装置を破壊した。他の2機も同様にEシールドを突き破って、Eシールド発生装置を破壊した。
「バカなっ!何故Eシールドを貫通出来るんだ!?まさか、こいつらの他にまだいるんじゃ?」
「当ったり〜」
突如シールドライガーのモニターに見知らぬ男の映像が映ってきた。勿論その正体はローダであった。
「まさか見張りに、ウネンラギア、さらに俺達のシールドライガーのEシールドを破壊したのも」
「全部俺がやったものさ、俺が乗るガンスナイパーの狙撃でな」
「貴様ぁー!コソコソ隠れてないでさっさと出てきやがれ!」
「そう言われなくても直に出てくるさ、んじゃ」
そう言って、シールドライガー側の通信が切れ、代わりにレイッシュのコマンドウルフACのモニターに通信が入る。
「ローダさん!狙撃だけって言ったんじゃ」
「やっぱ我慢出来なかったわ、あんた達の戦闘見てたら思わず前に出たくなってな、多分もうすぐ着く筈だからちょっとばかし辛抱してくれな」
「辛抱って・・・、そんな事よりもシールドライガーを倒さねば!」
「くっ・・・、Eシールドは使えなくなったが、まだ戦える、行くぞお前達!」
シールドライガー達は、ビームキャノンを撃ちながらコマンドウルフ達に近づいて来る。コマンドウルフ達は砲撃を受けながらも、怯まず砲撃をする。そんな時、シールドライガーの上からビームが降り注ぎ、シールドライガー達の動きが止まる。間もなくしてコマンドウルフ達の目の前に一機のゾイド、白いガンスナイパーだった。
「ご要望通り来てやったぜ、密輸者達よ」
「何おうー!あいつをぶっ倒すぞ!」
「ローダさん!俺達も手伝います!」
傭兵達は、ローダの援護をしようとするが、ローダは
「ありがとよ、だがこれは俺一人で十分だ」
「ですが!」
「気持ちだけ受けとっとくよ、さぁ、俺を倒せるものなら倒してみな!」
「人をこけにしやがってぇー!うぉわっ!」
中央にいたシールドライガーが砲撃を受ける。
「クソォ、何しやがる!」
「お前は私と戦ってもらおう!同じ共和国軍人としてな!」
「仕方が無い、お前達はあのガンスナイパーを、俺はレイッシュ中尉のコマンドウルフと相手する」
「分かったぜ」
そう言い、残りのシールドライガーは、ガンスナイパーを追い、この場に残ったシールドライガーは、レイッシュのコマンドウルフと戦う事となった。
「お前達の手出しは不要だ、私の勇士を見るがいい」
「分かりました中尉」
「さぁ、ゴチャゴチャ言ってないで、さっさと始めるぞ!」
「あぁ、望むところだ!」
コマンドウルフとシールドライガーが、互いに向かって走り出した。
* * *
その頃、ローダのガンスナイパーと、2体のシールドライガーは、レイッシュ達から少し離れた場所にいた。
「やっと戦う気になったか!?」
「俺は始めっから戦う気だぜ」
「じゃあ、何でこんな真似をした!?」
「あいつらの戦闘の邪魔にならない為さ」
「邪魔にならない為・・・だと?」
「あいつらの戦闘に水差したくないからな、それにあんたら2人掛りだろうが俺一人で十分だしな」
「やろぅ・・・、言わせておけば、絶対言い返せない様にしてやる!」
そう言い、シールドライガー達は、ガンスナイパーの左右に移動した。
「挟み撃ちね〜、でもそれが俺に通用するかな?」
ガンスナイパーがシールドライガーの一体に飛び乗り、背中のミサイルポッドでもう一方のシールドライガーに攻撃する。
「クソッ、これでもくらえっ!」
ミサイルで攻撃されたシールドライガーがビームキャノンを撃つ、しかし、ガンスナイパーは、シールドライガーからジャンプし、そこにはシールドライガーがいるだけだった。
「わーっ!バカヤロー!」
あろうことかビームキャノンは味方であるシールドライガーに当たり、シールドライガーは倒れる。ガンスナイパーはその隙にもう一方のシールドライガーの背中に飛び乗る。
「貴様!さっさとそこから降りやがれ!」
「やなこった、さてと、そろそろあんたも終わりだ」
「ま、まさか・・・」
ガンスナイパーは真下のシールドライガー目掛けビームマシンガンを連射する。
「ぐあぁぁぁぁ!!!や、やめろぉぉぉ!!」
やがて、シールドライガーは力なく倒れていった。ガンスナイパーは、シールドライガーが倒れる寸前にシールドライガーから離れていた。
「だから言ったろ、俺一人で十分だって」
そこにローダの事が心配になってやってきた傭兵達が見た物は、2体のシールドライガーを、殆ど無傷で倒したガンスナイパーがいるとこに、傭兵達は驚きが隠せなかった。
「たった一人で大型ゾイド2機を」
「倒すなんて・・・」
「凄すぎる・・・」
「流石はローダさんだ」
傭兵達は目の前にいる凄腕の傭兵に、ただただ呆然と見ているだけだった。
その頃、レイッシュのコマンドウルフACと、密輸者の一人のシールドライガーが激しく交戦していた。飛び交う弾丸やビーム、ぶつかり合う爪と牙、お互い互角とも言える戦いぶりだった。
「はぁぁぁっ!」
コマンドウルフがシールドライガーに飛び掛り、爪で攻撃し、シールドライガーのビームキャノン1門を破壊する。
「この野郎っ!」
同時にシールドライガーも、レーザーサーベルでコマンドウルフのロングレンジキャノンの1門を食いちぎる様にして破壊する。その反動でコマンドウルフは地面に叩き付けられる。
「ぐわっ!やるなぁ・・・!」
この時お互いの機体はボロボロになっていた。
(もう機体の状態から見て、長期戦は無理だ。恐らく向こうも同じ筈だ)
(流石にこれ以上の戦闘はきついな・・・、向こうも状況的には同じだな)
((次の一撃で決める!))
互いの機体は、向き合って走り出し、互いの機体は爪での攻撃をする。互いの攻撃はすれ違うようして当たり、地面に着地する。間もなくしてコマンドウルフが体制を崩す。
「やったか、うわっ!な、何ぃ!?」
その直後、シールドライガーがゆっくりと倒れ出す。実はシールドライガーの方がコマンドウルフよりダメージが大きかったのだ。
「やっと、倒したか・・・」
コマンドウルフは一応動けるにしろ、さっきの攻撃で脚部にダメージを受けている為、動きがぎこちなくなっていた。
「大丈夫ですか中尉?」
「とりあえず私は大丈夫だ、だが機体の方は結構な具合にやられてしまったけどな」
「中々いい戦いぶりだったな、中尉さん」
「そういうあなたはほぼ無傷でシールドライガー2体を倒したのか、本当凄いなローダさんは」
「あれ位俺にとっちゃ大した事のねぇ奴らだったからな。それで、シールドライガーに乗ってた奴らはどうするんだ?」
「あぁ、あいつらの件は、軍警察と協力して取り締まる事にするよ」
「そうか、じゃ俺らはもう用も済んだし、帰るとするわ」
「今回は何から何までご協力頂き本当にありがとうございました。それではお気を付けて」
「おぉ、また何処かで会おうぜ」
「えぇ、また何処かで」
そう言い、ローダと傭兵達はレイッシュ達と別れ、傭兵の街へと向かって帰って行った。
「これからも頑張ってくだされ、ローダさん」
レイッシュとその部下達は、遠ざかっていくローダや傭兵達の機体の後ろ姿を、敬礼をして見送った。
#7 完、#8へ続く