Side Story 3 未来からの来訪者・A Part


著/Ryuka

 

ここはとある洞窟の中、少し広めの空洞の中心に一人の少女が倒れていた。

「・・・ん、あれ?何であたしこんなところで寝てるんだろう?」

と、少女が目を覚まして体を起こす。どうやら彼女は気絶してたのではなく、眠っていたようだ。

「それにしても・・・、ここは一体どこなんでしょうか・・・?」

少女は周りを見回した。しかし見えるのは、暗く、ごつごつとした岩肌だけであった。

「しかも真っ暗で何も見えないですね・・・、何か灯りになるものあったかな・・・」

そう言って暗闇の中、衣服のポケットの中を探る少女。するとポケットの中に何かを見つけ、とりあえず適当に弄っていたら灯りが点きだした。その正体は、非常時とかによく使われる持ち運びが便利な小型の懐中電灯だった。

「やった、何でこれを持っていたのか分からないけど、とりあえずここにいても不気味で怖いから、目の前の通り道らしき場所を通ってみよう」

彼女は懐中電灯を片手に、洞窟の出口を探す為に目の前の道を進むことにした。

 

「う〜ん・・・、歩いても歩いても出口が全然見えてこないよぉ・・・」

先程から出口へ向け歩いているはずなのだが、一向に出口らしきものが見当たらない。少女は困惑した表情を浮かべていた。

やがて少女は疲れたのか、歩くのを止め、近くの岩に腰かけた。

「はぁ・・・、それにしてもあたし、なんでこんな所にいるのかな・・・、早く家に帰りたいよ・・・」

暗い場所に一人でいる寂しさに、思わず泣きそうになる少女。そんな時だった、突然目の前の岩肌が砕け始めた。

「うわわっ、い、一体何が起こったのですか〜!?」

身の危険を感じ、その場から少し離れた。そして少女は目の前の状況に視線を向ける。

「あれは、ヘビーライモス。どうしてこんな所に?」

突然現れたヘビーライモスに驚く少女。すると背中のハッチが突然開き始め、少女は反射的に数歩後退りした。

すると、開いた背中のハッチから誰かが降りてきた。少女よりも若干年上な感じの少女である。

「なんや、お宝かと思うたら女の子やないかい、ちょっとガッカリしたわ〜」

「はい?」

ヘビーライモスから降りてきた少女は、目の前にいる少女の前へ来るなり落胆の表情を浮かべこう言い放った。言われた方の少女は突然の出来事にきょとんとしていた。

「ウチはあんたがお宝だったらめっちゃ大喜びしたのにな〜」

「あたしがお宝って、一体何の事ですか!?」

状況を飲み込めず混乱する少女、すると目の前の少女の背後から目の前の少女と同年代の少年が現れ、その少女に対し

「ダメだよ、いきなりそんな事言っちゃ!女の子が可哀想じゃない」

と突っ込みを入れた。

「せやな、そこのあんた、いきなり責め立てて悪かったな、ウチらお宝探しの真っ最中やったしな」

「そ、そうだったんですか」

彼女らの目的を聞き、一安心する少女。

「それにしてもこんな場所に人がいるなんて珍しいね。しかも僕らとあまり年の変わらない女の子だし」

「確かに言われてみればそうかもしれんなぁ、ところであんた、なんでこんな所に一人でおるんや?」

何故少女が一人で暗い洞窟の中にいるのかと問いかける。

「えっとですね・・・、実はあたしもよく分からないんです。気が付いたらこの洞窟の中にいたんです」

どうやら彼女自身もこの洞窟にいる理由が分かっていないらしい。

「よく分からんって、そんな理由でこんなとこにおるはずがないで、何かしろ必ず理由があるはずや!ウチら別に悪い奴じゃないから、遠慮せずに正直に話した方がええって!」

「い、いや、ホントなんですけど・・・」

少女のあまりの剣幕に、思わずたじろく少女。

「だからそんな風に勝手に決め付けたらダメだってば、それにそんな言い方だと余計僕らが悪者だと思われちゃうよ」

たじろく少女を見て、関西弁で話す少女に注意をする少年。関西弁で話す少女はばつの悪い表情をしていた。

「ねぇ、きみはどこから来たの?」

「それが・・・、よく覚えていないんです」

「そうなんだ、それじゃあさ、この近くに街があるから、僕のヘビーライモスに乗っていくってのはどうかな?」

「いいんですか!?凄く助かります」

少女は思わず安堵の表情を浮かべる。

「まぁ、お宝の方も今回はさっぱりやったし、もうじき引き上げようかと思ってたとこやしな」

「そうだね、それじゃ君はこの子と一緒に背中のハッチから乗り込んで貰っていいかな」

「はいっ」

そう言って、少女は関西弁で話す少女と共にヘビーライモスの背中のハッチから乗り込んだ。その後に頭部のコックピットに少年が乗り込む。

「それじゃ街へ向けて出発だ〜」

少年の掛け声と共にヘビーライモスはドリルを回転させ、洞窟からの脱出に試みる事にした。

 

* * *

 

ようやく洞窟から脱出し、街へと着いたヘビーライモス。ゾイド乗り場にヘビーライモスを置き、3人はゾイドから降り、街の中へと入っていく。

「あの、聞きたい事があるのですが、ここは何て言う街なのでしょうか?」

少女の何気ない質問にもう一人の少女が答えた。

「ここは傭兵の街といって、傭兵達がぎょうさん集まって出来た街だそうやで、と言ってもウチらはまだこの街に来て間もないんだけどな」

「そうなんですか、ここが傭兵の街なんですか〜、あたしが見た傭兵の街とはちょっと違う感じですね」

「え?あんた傭兵の街知ってたんか、でもちょっと違う感じってどういう意味なん?」

少女が言った最後の一言に疑問に思う少女。

「そうですね、あたしが見た傭兵の街はこれより少し近代的な感じと言ったほうがいいのかな」

「近代的か・・・、確かにウチらはここに来て間もないけど、この街が大きく変わり映えした気がしないけどなぁ」

少女の言ってる意味が理解出来ず、悩みこむ少女。

「あ、そう言えばまだお二人の名前聞いてませんでしたよね?」

「あぁ、そうやったな。ウチはサクノ、そしてウチの隣にいるのがシグって言うんや」

「よろしく〜」

二人の少女と少年の名はサクノとシグ、二人でヘビーライモスに乗ってお宝採取をするトレジャーハンターである。

「じゃあこっちもあんたの名前聞いとこかな、折角出会った縁だし」

「はい、あたしはアオイ・バラートと言います」

彼女、アオイの名前を聞いた瞬間、サクノとシグは耳を疑った。そう、彼らはアオイの名字に心当たりがあるからだ。

「なぁ、シグ。あの子の名字ってまさか・・・」

「そのまさかだと思うよ・・・」

二人が心当たりがある人物、それはヒロキのことであった。彼の名字も“バラート”であるため、アオイはヒロキと何かしらの繋がりのある人物だと推測した。

「あの、さっきから二人で何を話しているんですか?」

二人の話してる様子を不思議そうに見つめるアオイ。するとサクノが

「アオイさ、兄妹とかいたりするん?」

「ううん、あたしは一人っ子だよ」

二人の推測とは違った結果であった。どうやらアオイは一人っ子のようだ。

「そうかぁ、まぁただ聞いてみただけだからあまり気にせんといてな」

「そうですか」

(アオイは一人っ子と言ってるが、ヒロキはんと同じ名字ってのがどうしても引っかかるなぁ・・・)

 

「それで、ヒロキさんとアオイちゃんの繋がりは確認出来たの?」

「さっぱりや・・・、どうやらアオイは一人っ子らしいで、ウチらの読み違いみたいやわ」

アオイ本人に聞いただけでは、有力な手掛かりを掴むことは出来なかったようだ。

「そうなんだ・・・、でもやっぱり同じ名字であるのが引っかかるんだよな〜」

「ウチもや、ひょっとしたら本人が気付いてないだけかもしれんし・・・」

サクノ曰く、アオイは本当はヒロキと繋がりがあるのだが、アオイ自身はその事を知らないのではと思った。

「僕も始めはそう思ってたんだけど・・・」

「だけど?」

「どうもそうじゃない気がするんだよね、アオイちゃんの言動から、何か隠してたり、嘘ついてたり、覚えてなさそうな感じはしなかったように見えたんだ」

シグにはアオイの言う事は全て事実ではないのかと思っていた。何か恨めしい事を抱いていたりする様子も全く見受けられない。

「となると、ウチらだけじゃもうどうしようもあらへんな、この事はDr.クロノスに聞いたほうがええのかも」

「そうだね、あの人なら何かしろの答えを出すと思うしね」

彼らはアオイの事をDr.クロノスに聞いてもらうため、アオイと共にDr.クロノスの研究所へと向かう事にした。

「ほな決まりだな、早いとこアオイ連れてDr.クロノスの研究所へと行かんとなぁ」

「それじゃあアオイちゃん、僕らと一緒について行ってくれるかな?」

「はい、分かりました」

サクノとシグは、アオイに隠された謎を知る為に、Dr.クロノスの研究所へと向かって行った。

 

* * *

 

一方、ここはDr.クロノスの研究所。研究所の中には、Dr.クロノスの他に、ヒロキ、イズキ、フェイラが来ていた。

「おや?今日はいつもと比べて人が少ない感じがするね。他の人は何かあったのかい?」

Dr.クロノスは、いつもより集まってる人数が少ない事に気が付く。

「僕とイズキは今日仕事が休みなんです」

「そんでライサーとアルトは、それぞれ別の仕事でいないのさ」

ヒロキとイズキは仕事が休みなのだが、ライサーとアルトは仕事で来れなかったようだ。

「なぁフェイラ、お前が一人だなんて珍しいな、ユキエはどうしたんだ?」

イズキはフェイラを見て、いつも一緒にいるはずのユキエがいない事を指摘した。

「えっと実はユキエちゃん体調崩して寝込んでるんだ。だから今日はボク一人さ」

フェイラが言うに、ユキエは体調を崩し寝込んでいるため、ここに来る事が出来なかったという。

「だったらフェイラは、ここに来るんじゃなくてユキエの看病をした方が良いんじゃないの?」

「それがね、ユキエちゃんから菌をうつさせない為にも来ない方がいいって言われちゃってさ〜」

頭をポリポリと掻きながら話すフェイラ。

「それじゃあ仕方ないよね」

とヒロキが言う。

すると、フェイラが何か閃いた感じでヒロキとイズキに聞いてきた。

「そういえば二人って何のために傭兵の街まで来たの?まさかデートとか?」

「そ、そんな訳ないだろっ!!」

「ち、違うよ!」

二人は慌てて否定しようとする。そんな様子を見てフェイラはニヤニヤしていた。

「でもその割には随分と慌ててるようだね。その様子だとボクが言ってる事ホントだったりしてね」

フェイラはニヤニヤしながら事を追求しようとする。

「そんなんじゃないってば!今日ここに来たのは、Dr.クロノスに僕のブレイジングウルフGDを見せる為に来たんだよ。それにまだ僕とイズキはその・・・、まだ付き合ってるとかそういうのとかじゃないから!」

「え・・・!?」

「そうでしょイズキ!?」

「あ・・・、う、うん、そうだね、まだあたし達そういう仲じゃないもんね、あはは・・・」

(ヒロキのバカ・・・、何もそこまで言わなくたっていいのにさ・・・)

外では笑っていても、内心では涙を浮かべているイズキであった。

「そ〜なんだ〜、単なるボクの思い違いかぁ〜」

ヒロキの答えにつまらなさような表情で言うフェイラ。

「そうそう、つい先程ヒロキ君のブレイジングウルフGDを見させて貰ったけど、かなりの出来だね」

「ヒロキは知らないかもしれないけど、Dr.クロノスはブレイジングウルフGDの製造に協力していたんだよ」

「そうだったの!?全然知らなかったよ」

ヒロキが知らないのも無理もない、ブレイジングウルフGDが製造していた頃、ヒロキは記憶喪失に陥っていたからだ。

「といっても私が関わったのは、機体の設計図と製造の指揮くらいだけどね」

「それでも凄いですよ、僕の機体を作ってもらってありがとうございます」

ヒロキは自分の機体を作って貰った事に感謝の意を込めて、Dr.クロノスに礼をする。

「そこまで感謝してもらえると、私としても嬉しいよ。頑張って作った甲斐もあることだしね」

と笑顔で答えるDr.クロノス。

Dr.クロノス〜!今おりまっか〜?」

研究所の入り口の方から声が聞こえてきた。

「この声、それにこの喋り方、ひょっとして・・・」

「サクノちゃんみたいだね」

イズキとフェイラは声と特徴的な喋り方から、声の主がサクノであることに確信した。

「私ならいますよ〜、遠慮せずに入って来てください〜」

Dr.クロノスは、入口にいると思われるサクノに対しこう言った。するとサクノも

「それじゃあお言葉に甘えさせて入るで〜」

と言い返した。

 

そして研究所の中へと辿り着いたサクノ、シグ、アオイの3人は、Dr.クロノスを始め、ヒロキ、イズキ、フェイラと対面する。

「あ!」

するといきなりアオイがヒロキとイズキの方を見て反応する。

「どうしたんや、アオイ?」

これを見たサクノがアオイに問いかける。

「お父さん・・・、それにお母さん・・・」

「え!?ウソやろ!?」

アオイの言葉に動揺を見せるサクノ。

「・・・にそっくりだ」

「何や、そっくりさんかい・・・、ってそっくりってどういう事や!」

「ヒロキさんとイズキさんがアオイちゃんの両親にそっくりって一体どういう事!?」

アオイの発言にサクノだけでなく、シグも動揺する。

「僕がその女の子のお父さんにそっくりって?」

「あたしがお母さんにそっくりって、一体何の話なんだ?」

事情を知らないヒロキとイズキには、サクノ達3人のやり取りの意味が分からないようだ。

「う〜んとな、簡単に説明すると、ウチとシグがお宝探しに潜った洞窟にたまたまこの女の子と出会ったんや。それでウチらがこの街まで連れてきたんやけど・・・」

「けど?」

「それがこの街に着くなりいきなり訳分からんこと言うての、ウチらじゃどうしよもなくのうてここに来たんや」

「訳の分からない事?もうちょっと詳しく言えるかな?」

とヒロキがサクノにアオイが言った訳の分からない事について聞く。

「そうやな、あの子はこの傭兵の街が自分が見たのとはちょっと違うとか言うてたな」

「どんな風に?」

「何かあの子が言うにはもうちょっと近代的だったとかってなぁ」

「近代的?どういう事だよそりゃ」

とイズキがサクノに向かって言う。しかしサクノは

「そんなの分かってたらウチら苦労せぇへんって!」

とイズキに突っ込みを入れる。

「それにこの子、アオイちゃんって言うんだけど」

今度はサクノに代わってシグが話す。

「よく聞いてほしんだけど、実はアオイちゃんの名字がヒロキさんと同じバラートって言うんだよ」

「え・・・えぇーっ!?」

「ヒロキと名字が同じって、一体どういう事なの?」

シグの言葉に周りのいる人達は動揺を隠せなかった。

「そういやヒロキくんに兄妹がいたなんてボク聞いた事ないよ!」

「あたしもだよ!ねぇヒロキ、アンタに妹なんていたの!?」

「いや、僕に妹はいなかったと思うし、仮にいたとしてもアオイという名前の子はいないはずだよ」

アオイと同じ名字であるヒロキも彼女については何も知らない様子である。では何故アオイの名字がヒロキと同じなのだろうか・・・。

「あの・・・、皆さん揃って慌てて一体どうしたのですか?」

当のアオイはこの慌て様は自分の事である事を知らず、呆然と立っているだけであった。

「でも待って、確かさっきヒロキくんの事お父さんって言ってたよね?」

「言われてみりゃ確かに、そういやイズキはんもお母さんって言ってたなぁ」

確かにフェイラやサクノの言うとおり、アオイはヒロキとイズキを見て自分の両親にそっくりだと言っていた。

「何か話がよく分からなくなってきたよ〜・・・」

ヒロキの頭の中はすっかり混乱している様子だった。その時Dr.クロノスが衝撃的な言葉を発した。

「・・・もしかしたら、アオイ君はこの時代の人じゃないかもしれないね」

「え?」

Dr.クロノスの言葉に辺りは一瞬にして静まりかえる。そしてDr.クロノスは話を続ける。

「アオイ君」

「はい?」

「君の両親の名前を言って貰ってもいいかな?」

Dr.クロノスはアオイを呼び出し、アオイに自分の両親の名前を言うように指示した。アオイはDr.クロノスの指示に嫌な顔一つせず答えた。

「はい、わかりました。あたしのお父さんの名前はヒロキ・バラートで、お母さんの名前はイズキ・バラートです」

何とアオイの口から出たアオイの両親の名前は、あろうことかヒロキとイズキの名前であった。

「じゃあもしかしてアオイちゃんって・・・」

「あたしとヒロキの子供って事!?それにあたしの名字がヒロキと同じになってるって事は・・・」

「つまりヒロキ君とイズキ君は結婚してる事になっており、アオイ君という子供もいる。要するにアオイ君は未来の人間であるということだな」

アオイの正体は、未来のヒロキとイズキの娘であったのだ。

「でもDr.クロノス、何で未来の人間であるアオイがこの時代におるんや?」

サクノは何故アオイがこの時代にいるのかをDr.クロノスに聞く。

「恐らくだが、何らかの理由で時空にゆがみが生じ、そのゆがみにアオイ君が巻き込まれてこの時代へと飛ばされたのではないかと私は思っている」

アオイがこの時代にいるのは、何らかの理由によって生じた時空のゆがみに巻き込まれたことでこの時代に飛ばされたのだと推測するDr.クロノス。

「ねぇアオイちゃん、どうしてこの時代に来たのかって分かる?」

ヒロキはアオイにこの時代に飛ばされた事を知っているのかを確認する。しかしアオイの答えは

「いえ、あたしも良く分からないんです。気が付いたら暗い洞窟の中にいたんです」

彼女自身もこの時代に飛ばされた理由は分からないようである。

「そうなんだ・・・、でもアオイちゃんがこの時代の人間でないなら、アオイちゃんのいる時代へ帰す方法を考えないと」

「そうだな、あたしも協力するよ」

「アオイを見つけたのはウチらやから、協力せなあかんよなシグ」

「そうだねサクノちゃん」

「一応ボクもここにいるから協力した方がいいよね?」

「みんな・・・」

ヒロキだけでなく、イズキ達もアオイを元の時代に帰す事に協力する姿勢であった。

「皆さんあたしの為に力になってくれて本当に感謝してます」

ヒロキ達の行動を見たアオイは、感謝の意で一杯だった。しかし、アオイには一つ疑問に残っていたことがあった。

「それでですが、あたしはどういった方法で元の時代に帰れるのでしょうか?」

「そう言われるとまだ・・・」

アオイの率直な質問にどう答えていいか困惑するヒロキ。するとDr.クロノスが

「いや、アオイ君が元の時代に帰れる方法なら無くも無いよ、ちょうど今、この街の近くの洞窟に特殊な反応が確認出来た。恐らく時空のゆがみかと思われる。そこへ向かえばアオイ君が元の時代へ帰れる手掛かりが掴めると思う。だがそこで何が起こるかは分からないから、向かうには十分気を付けるんだよ」

「はい、分かりました」

「それとアオイ君、君はゾイドに乗る事は出来るのかな?」

「はい、ゾイドの訓練はしっかり受けているので、乗る事は出来ます」

どうやらアオイはゾイド乗りとしての訓練を受けていたようである。

「それじゃアオイ君はそこのコマンドウルフLCに乗り込んでくれ」

「分かりました」

そう言うと、アオイはコマンドウルフLCの方へと向かって行き、コマンドウルフLCに乗り込んだ。他の人達も次々と自分の機体へと乗り込んでいく。

「それじゃ、例の時空のゆがみがあると思う洞窟に向けて出発するよー!」

「「「「「おーっ!」」」」」」

ヒロキのブレイジングウルフGDを先頭に、残りの4機がそれに続く感じとなり、5機の機体は洞窟に向け出発した。

 

後編へ続く